2013年5月25日土曜日

松田正平展~山口県立美術館

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明日が最終日なのであわてて松田正平展へ(屋根に新しいオブジェが…2羽のカラスだった)

いかにも油絵という作品群は《コローの模写》(松田はコローこそ絵の具を自在に使った画家だと話す)や《かみきり虫》(この作品,好きだ)に見られる。これらは具象的でいかにも絵の具を塗り重ねましたというテレピン油のにおいが今にも漂ってきそう。

それでも,《かみきり虫》にはすでに対象をデフォルメする後の作風の萌芽が見て取れる。

《跳ぶ男》,《大威徳明王》の頃の作品になると,厚塗りは影を潜め水彩画のような透明感のある技法に変化し,対象はコミカルさを増していく。この流れの先にあるのが,《四国犬》(美術館前の立て看板に描かれた「ガウガウ」と吠えているような犬がそう)や《オヒョウ(大きな魚)》だと感じた。

デフォルメの一方,薔薇を描いたシリーズはいかにも油絵という仕上がり。清楚な薔薇がキャンバスに息づいている。

四国犬と薔薇のハイブリッドだと感じるのが周防灘を描いた作品群。抽象的なのだけどそこに見知った風景が浮かんでくる。瀬戸内海を描ききった絵描きは過去いないと松田が言う。これは彼の謙遜とも自慢とも受け取れる。

松田の人となりを紹介した15分ほどのドキュメンタリーを見る。郷里を離れ千葉暮らしも長いというのに,画面の中の彼の語りにはいまだに生まれ育った長州の言葉が混じっていた。

彼は「犬馬難鬼魅易」(鬼などのバケモノなどの想像上のものを描くのはたやすいことである。しかし,誰でも見たことのある犬や馬を描くことは難しい。)という韓非子の故事にある言葉を座右の銘とし自筆の短冊をアトリエに飾っていたとか。

それが,あの《四国犬》か!というと怒られるだろうから,そっと胸のうちにしまっておくことにしよう。

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美術館の中庭。ここは「県美の森」と呼ばれている。今回はじめて足を踏み入れた。壁面を構成する窓ガラスに映る新緑が美しい。

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道の駅「仁保の郷」でとんかつ定食。1000円

ここのとんかつは薄切りロース肉を何枚か重ねて揚げてある。騙されたような気がしないではない。

大相撲夏場所,ともに13連勝で迎えた白鵬と稀勢の里が本日直接対決をした。結果は白鵬の勝ち。うーん,明日の千秋楽がどうなるか,目が離せない。

母から運転中の自分に電話がかかってきた。初めてのハンズフリーによる通話。会話に何の不便もなかった。もっと早く気づいていればよかったなあ。

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